記事のタイトルは、患者さんや知り合いの方々から受ける相談の中でも、間違いなく一二を争うくらいに多いものなのですが、そのまま題名に借用してみました。
この切実な訴えは、まさに「消化器内科医あるある」の一つと言えるでしょう。
「以前、内視鏡検査を受けた時に本当に辛くて、また受けるのが恐い」
「胃カメラを呑んだ家族や友人が『苦しかった』と言ってて、自分の番になって怯えている」
目の前の患者さんや相談してくる方々が内視鏡検査に怯えている様子を見たり、あるいは普段生活している中でこういった発言を目や耳にすると、一介の消化器内科医としては、何とも胸が締め付けられるような想いがあります。
そこで今日は、良く知っているようであまり知られていない「内視鏡検査」について、ちょっとお話させてもらいたいと思います。
やっぱり皆さんが一番知りたいと思われているのは、「苦しい内視鏡検査」と「苦しくない内視鏡検査」との違いについてではないでしょうか。
これは、ズバリ言ってしまえば、「担当する医者の技量次第」にほかなりません。
もちろん、体質的にどうしても内視鏡を入れづらい場合や、人一倍痛みや不快感が苦手な場合など、患者さん側の要素に左右される部分もないとは言えません。
ですが、普通なら痛みを「10」感じてしまう場合だったとしても、医者の腕前によってその痛みを「5」にも「3」にも、あるいは「1」にだって「0」にだってできるはずなんです。
いま僕がお世話になっている病院では、年間に「2,500~3,000件」ほど内視鏡検査を実施していますが、そのうち「1,600~1,800件」くらいを僕が担当させてもらっています。
また、「大腸ESD」や「ERCP(胆膵内視鏡)」などリスクの高い治療手技についても、ほとんど僕に任せていただいています。
そうやって、曲がりなりにも内視鏡に心血と時間を注いできた者の実感として断言しますが、内視鏡検査は、決して芸術やスポーツの世界のように、類まれな才能と努力なくして一流になれないようなものではありません。
結局のところ、技量の差を分けるのは、「覚悟の違い」なんだと思います。
例えば、同じように剣道に一年間打ち込んだとして、「竹刀で練習した人」と「真剣で修練を積んだ人」との到達点が同じであるはずないのと、一緒です。
一件一件の検査に命を懸けて取り組んでいるのか、それともただのルーチンワークとして流しているのかで、将来的な実力に雲泥の差が出ます。
内視鏡が完全に身体と一体化して「130cm」のファイバー先端まで神経が行き届いている人と、先端の「5mm」手前で神経が途絶えてしまっている人との違いは、ファイバー捌きを見れば一目瞭然なんです。
「じゃあ、お前はどうなんだ!?」と問われれば、悔しいですが僕もまだまだ完璧だとは言えないでしょう。
だからこそ、
「常に前者で在り続けるために、慢心せずに腕を磨き続けよう」
「少しでも正確に、少しでも患者さんが苦しまずに済むよう心掛けよう」
という覚悟を持って、日々の診療に望んでいるつもりです。
「良薬口に苦し」とはよく言ったもので、「正確な検査に苦痛は付き物だ」と考える人は医者にも患者さんにも多いようですが、でも決して両立できないものではありません。
「苦くない良薬」。 僕は、そんな医者で在りたいと思っています。
山城
コメント
写真は,覗きの内視鏡!良き古き時代ですね.
先人たちが築いた医療の歴史に感謝し,最大限,全力に,患者第一で突き進む,南の国の先生を,いつも感動させて頂いております.
素晴らしいクリニックになることを,今から楽しみにしております!
コメントいただきありがとうございます!
いつも愚直に患者さんのために身を削り続ける山城先生ですので、スタッフ一同でしっかりと支えていかねば!と思っております。
今後、開院準備の経過についてもブログ上でご報告していく予定ですので、どうぞご期待ください。
サンパーク胃腸内科 ブログ運営担当 熊田