海を越えてやってきた「素敵な来訪者」

日記

 

こんにちは。

ここ一週間ほどで気候も一気に秋冬めき、沖縄では非常に貴重な「コートを羽織ったり、厚着したりしてお洒落を楽しめる時期」を迎えつつあるにもかかわらず、相変わらず人生の大半を白衣で過ごしている山城です。

 

 

実は先日、僕自身もまったく思いも寄らなかったような「素敵な再会」に恵まれまして、あまりに嬉しかったものですから、今日はちょっとその出来事について書かせてもらいたいと思います。

「お?何だ自慢か?」と思われるかもしれませんが、すみません。ちょっとだけ自慢です(笑) 

 

ただ、本当に嬉しかったものでして、「これを書かずして何のためのブログだ」と開き直って決意を固めた次第です。

 

 

 

さて、いま僕の内視鏡検査、特に大腸カメラ検査を希望して受診してくれる患者さんは、本当に有難いことに離島を含む県内全域にいらっしゃいます。

また、毎年年末になると、古くからの知り合いのドクターが、ご家族を連れて県外から検査を受けに来てくれるのですが、これも一人の消化器内科医として、非常に大きな励みになっています。




そして先日、僕がいつも通りに病院で診察を行っていると、80歳近いおばあちゃんが、香川県より受診しに来てくれました。

ちなみに、2012年から2013年にかけて、僕は香川県にある回生病院に勤務していたのですが、実はこのおばあちゃんは、僕がその時に検査を施行した方だったんです。



当時、この方は香川県内で幾つもの病院を回って大腸カメラ検査を受けたものの、体質的な問題のせいか上手く最後まで入らなかったらしく、僕の評判を聞きつけて受診してくれたようでした。

事前にそういった事情を話してもらっていたため、挿入開始時よりいつも以上に慎重に慎重を重ねて施工したところ、無事に検査は成功に終わったのですが、検査後には涙を流して喜んでくれていたことを、今でもはっきりと覚えています。



そんな思い出深い方だったので、当然びっくりした訳です。まさか、沖縄の地で再会を果たすだなんて、まったく想像もしていなかったんですから。



 

そうして、再会できたことへの驚きと喜び半分、本来なら罹らないに越したことはないはずの病院で再会してしまったことへの寂しさ半分で事情を尋ねてみたところ、どうやら僕の検査を受けた後、何回か香川県内の病院で同じ検査を受けたものの、やっぱり上手く入らなかったそうです。

れで、わざわざ僕のいる病院を探し出し、遠路はるばる沖縄まで足を運んでくれたということのようでした。



そんなこんなで結局、今回の検査も無事に成功。

僕が施工した検査のどちらでも大きな異常が見つかることはなかったため、「そんなに頻繁に検査を受ける必要はないですよ」と伝えてあげると、「これで一生安心できます」と、本当に嬉しそうに微笑まれながら帰っていかれました。

 

 

 

同じ県内の移動だって、患者さんにとっては決して楽なものではありません。だからこそ、わざわざ僕のところにまで受診しに訪ねてくれる患者さんには、感謝の気持ちで頭が下がる思いです。

それなのに、隣接していない別の県、ましてや海を隔てた先にある別の県にまで、わざわざ検査を受けるためだけに受診しに来てくれるだなんて。

  

これを「医者冥利に尽きる」と言わずして、何と言えばいいのでしょうか。

 

 

 

やっぱり、人間生きている以上、何かしらの病気に罹ったり怪我してしまったりすることは、どうしても避けられないものだと思います。

だから、患者さんは医者や病院を頼らざるを得なくなってしまう訳ですが、きっと本当なら、患者さんにとって医者なんていう存在は、「一生に一度も会わずに済むならその方が良いような存在」なんだろうと思います。

 

だけど、どうしても医者に頼らなければならない時、ふと「この医者だったら頼れそう」と顔を思い浮かべてもらい、そして少しでも信頼を寄せてもらえたならば、それは医者にとって本当に誇らしく嬉しいことなんです。



 

いま僕がいる病院で診る患者さんはもちろん、新しいクリニックに来てくれる患者さんの一人でも多くに、「こいつとは二度以上会ってやってもいいな」と思ってもらえるように、改めて兜の緒を締め直そう。

 

――そう思わせてくれるような、心震わせる素敵な再会でした。


山城   

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